害虫の一種であるシロアリは白アリと表記されることもあるのでアリの一種と誤解されていますが、実際はゴキブリに近い品種です。シロアリは普通のアリと異なり蛹の期間がありません。卵から孵化すると幼虫から複数回の脱皮を繰り返して成虫になるので、常に建材を食べ続けます。そのため、建材の食害が拡大しやすい傾向があります。シロアリは植物に含まれるセルロースを摂取しますが、加工された建材は効率的な摂取が可能なことから本来は森林などの屋外に住むシロアリが豊富な餌を求めて住宅などの建物に住み着きます。シロアリは温暖で湿気が多い環境を好むので、日本では福岡など一年を通して暖かい地域に生息します。しかし、建物の中は常に気温が高いので寒冷地でもシロアリ被害が発生する可能性があります。シロアリによる食害を放置すると建物の耐久性が著しく低下するので早急な駆除作業が必要ですが、専門業者への作業依頼は高額な出費になるケースもあることから軽度であれば自分で駆除を行う方法もあります。
シロアリ駆除を成功させるためには使用する薬剤の選択や作業の手順に気を配ることが大切です。白アリの名称から普通のアリ駆除に使う設置型の殺虫剤を使いがちですが、シロアリと普通のアリは食性が全く異なるので効果はありません。普通のアリは雑食で何でも食べることから、アリ用の殺虫剤はアリが好む味付けが施されています。しかしシロアリは草食性なので設置型の殺虫剤は不向きです。また、シロアリは餌にしている建材の中に巣を作ることから設置型の殺虫剤には興味を示さない問題もあります。自分でシロアリ駆除を行う場合は散布型の殺虫剤を使うのが最も無難な方法です。
シロアリ用の殺虫剤は成虫以外に卵も駆除することが出来ますが、シロアリの巣は建材の内部にあるので卵まで薬剤が届きにくいのが欠点です。卵が残っていると爆発的に増殖してしまうので、建材に虫食い穴があった場合は必ず内部に薬剤を注入します。床下や天井裏などの暗所はシロアリの巣を見つけにくいので十分に明るくして作業を行う必要がありますが、成虫は光を嫌うので予め薬剤を散布して駆除を済ませてから改めて作業に取り掛かるのが効率的です。シロアリの死骸は他の害虫の餌になってしまうので掃除も併せて行うことが大切です。
自分で行うシロアリ駆除は使用する薬剤や道具を予算に合わせて選べるのが利点です。また、建物の構造や被害状況に合わせた工法を選べるので、余計な出費を抑えながらシロアリ駆除を行うことが出来ます。住宅向けのシロアリ駆除は薬剤の散布の他、殺虫成分が含まれているセメントで巣穴を塞ぐなどの工法があります。また、駆除後にシロアリ被害の再発を防ぐために、外壁の亀裂を塞ぐのも効果的な工法の一つです。外壁の補修はシロアリが好む湿気を防ぐ目的もあるので、除湿剤を散布したうえで作業を進めるのが効果的です。虫除け効果がある薬剤を使うのも被害再発の予防効果がありますが、日数の経過とともに効果が低くなるので定期的に散布を繰り返します。特に築年数が長い建物は建材のすき間に薬剤が沁み込みやすいので、こまめに散布を繰り返すのが被害の再発を防ぐための工夫です。
シロアリ駆除は単に害虫を根絶するだけではなく、傷んだ建材の修理や再発の予防を考慮する必要があります。シロアリの食害に遭った建材は耐久性が低下して壊れやすくなっていることから、外見上は目立った損傷が無くても必ず新品と交換します。福岡などの暖かい地域ではシロアリは屋外から侵入するケースが多いので、建物のひび割れや歪みを虫除け効果が高い専用の補修材で塞ぐのが被害の再発予防に効果的です。